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最高裁判所第一小法廷 昭和47年(行ツ)8号 判決 1975年10月09日

上告人 平野政雄

被上告人 神戸刑務所長

訴訟代理人 海老根進

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告状記載の上告理由及び上告理由補足申立書記載の上告理由について

本件各懲罰処分の取消を求める訴はその利益を欠き不適法であるとした原審の判断は、正当として是認することができる。所論引用の判例は、事案を異にし本件に適切でない。原判決に所論の違法はなく、右違法があることを前提とする所論違憲の主張は、その前提を欠く。論旨は、独自の見解に立つて原判決を非難するものであつて、採用することができない。

よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判官 団藤重光 下田武三 岸盛一 岸上康夫)

上告理由<省略>

【参考】第二審判決(大阪高裁 昭和四六年(行コ)第一五号 昭和四六年一〇月二七日)

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事  実 <省略>

理由

当裁判所は控訴人の本件各訴を不適法として却下すべきものと判断するものであつて、その理由は次の付加をするほかは原判決の理由中の説示と同一であるから、これを引用する。

(一) 原判決五枚目表六行目「当然」の次に「かつ直接的」を加える。

(二) 当審における控訴人の主張(一)(二)は、前記判断における説示に照らし理由がない。また、取消訴訟の原告適格ないし訴の利益は、行政事件訴訟の利用を許すための要件として、公益的見地から当然要求されるものであつて相手方の主張に基づいて裁判所が判断するものではないから、たとえ右要件の欠缺が相手方の行為によつて生ぜしめられたとしても、本訴が右要件を欠くことに変りはない。したがつて控訴人の前記主張(三)も採用できない。よつて、原判決は相当で本件控訴は理由がないから、民訴法三八四条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 山内敏彦 黒川正昭 金田育三)

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